【社労士が解説】週20時間未満になったら雇用保険はどうなる? ― 在職中でも資格喪失の手続きが必要です

こんにちは。こころ社労士事務所の香川です。
「パートさんの勤務時間を減らすことになって、週の所定労働時間が20時間を切るんです。この場合、雇用保険ってどうなるんでしょう?」
「そもそも、退職するわけじゃないのに、手続きが必要なんですか?」
このようなご相談をいただくことがあります。
「退職したときに雇用保険をやめるもの」というイメージをお持ちの方は多いので、在職したまま資格を喪失すると聞くと、不思議に感じられるかもしれません。
結論からお伝えすると、労働条件の変更により、週の所定労働時間が20時間未満になった場合は、在職中であっても雇用保険の資格を喪失します。
つまり、退職しなくても手続きが必要になるのです。
今回は、このケースで会社が押さえておきたいポイントを分かりやすく整理します。

なぜ、退職していないのに資格を喪失するの?

雇用保険には、加入するための要件があります。
その一つが、
「週の所定労働時間が20時間以上であること」
です。
そのため、労働条件の変更によって週20時間未満の契約になると、その時点で加入要件を満たさなくなり、雇用保険の資格を喪失します。
ここで大切なのは、
「退職したかどうか」ではなく、「加入要件を満たしているかどうか」で判断されるという点です。
雇用契約は続いていても、加入要件を満たさなくなれば、雇用保険の資格は喪失します。

資格喪失の手続きは必要です

この場合は、会社からハローワークへ雇用保険被保険者資格喪失届を提出します。
「退職ではないから手続きは不要」と思われることがありますが、在職中であっても資格喪失の届出は必要です。
勤務時間の変更が決まったら、雇用保険の手続きも忘れずに進めましょう。

離職票は発行するの?

ここは、実務でよくご質問いただくところです。

従業員から希望があった場合

在職を続けるケースでも、従業員から離職票の交付を希望された場合は、所定の手続きを行います。
もちろん、パートやアルバイトの方も対象です。

希望がない場合

希望がなければ、原則として離職票の交付手続きは必要ありません。

59歳以上の方は確認を忘れずに

ここは見落としやすいポイントです。
59歳以上の方については、本人から希望がなくても、離職票の交付が必要となる取扱いがあります。
これは、高年齢雇用継続給付など、その後の手続きで必要となる場合があるためです。
勤務時間の変更が決まったら、対象となる従業員の年齢もあわせて確認しておくと安心です。

手続きの期限にも注意しましょう

資格喪失の届出は、
資格喪失日の翌日から10日以内
に行います。
電子申請のほか、郵送やハローワーク窓口でも手続きが可能です。
「退職ではないから」と後回しにしてしまうと、期限を過ぎてしまうこともあります。
勤務時間を変更するときは、雇用保険の手続きまで含めて予定を立てておきましょう。

労働条件通知書などの見直しも忘れずに

勤務時間を変更するときは、雇用保険の手続きだけではありません。
労働条件通知書や雇用契約書なども、変更後の内容に合わせて見直しておくことが大切です。
後になって「聞いていなかった」「認識が違っていた」といったトラブルを防ぐためにも、労働条件の変更内容は書面で確認しておきましょう。

私が事業主のみなさまにお伝えしていること

この手続きで私がいちばんお伝えしたいのは、
「労働条件の変更には、その先の手続きまで目を向けていただきたい」
ということです。
勤務時間を減らすという変更だけを見ると、それほど大きな手続きには感じないかもしれません。
ですが、その裏では、雇用保険の資格や各種給付など、従業員が安心して働き続けるための大切な制度が動いています。
離職票の交付が必要かどうか、資格喪失の届出はいつまでか――。
こうした手続きをきちんと行うことは、従業員の不利益を防ぐだけでなく、会社への信頼にもつながります。
労働条件を変更するときは、その一歩先にある手続きまで見通して準備する。
それが、従業員を守り、結果として会社を守ることにもつながると、私は考えています。

まとめ

  • 今回のポイントを整理すると、
  • 週の所定労働時間が20時間未満になると、在職中でも雇用保険の資格を喪失する
  • 判断基準は「退職したかどうか」ではなく、加入要件を満たしているかどうか
  • 在職中でも雇用保険被保険者資格喪失届の提出が必要
  • 離職票は、本人が希望した場合に交付手続きを行う
  • 59歳以上の方は、本人の希望の有無にかかわらず離職票の交付が必要となる
  • 資格喪失の届出は資格喪失日の翌日から10日以内
  • 勤務時間を変更するときは、労働条件通知書や雇用契約書の見直しも忘れない

「勤務時間を減らす予定だけれど、手続きに漏れがないか確認したい」
「雇用保険や社会保険への影響も含めて相談したい」
そんなご相談がありましたら、どうぞお気軽にお声がけください。
こころ社労士事務所では、労働条件の変更に伴う各種手続きから、雇用保険の実務、就業規則の整備まで、会社の実情に合わせてサポートしています。
労働条件の変更は、勤務時間だけを見れば終わりではありません。
関連する雇用保険や社会保険の手続きまで含めて確認することが、会社にも従業員にも安心につながります。
次回の「社労士が解説」も、どうぞお楽しみに。

香川 昌彦

香川 昌彦

社会保険労務士法人こころ社労士事務所 代表
全国社会保険労務士連合会(登録番号第27190133号)
大阪府社会保険労務士会(会員番号第22072号)
茨木商工会議所専門家相談事業 専門家相談員
関西圏雇用労働相談センター 労働相談員

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