【社労士が解説】残業代は125%で正しいの?

大阪府茨木市の社会保険労務士法人こころ社労士事務所です。
中小企業の経営者にとって、従業員に支払う「残業代」の仕組みを理解することは、労務管理の重要な一環です。
残業代の正確な支払いは、従業員のモチベーション向上や会社のコンプライアンス遵守にもつながります。
ここでは、月給制を前提に、残業代の基本的な考え方や計算方法について解説します。

残業代には2種類ある

「残業代」と一口に言っても、実は2つの種類があります。
1つは「所定労働時間外の労働(所定外労働)」、もう1つは「法定労働時間外の労働(法定外労働)」です。
これらは労働時間の種類によって、支払うべき対価や計算方法が異なる点に注意が必要です。

種類 定義 支払うべき賃金
所定外労働 会社の就業規則や労働契約で定められた所定の労働時間を超えた労働 基本時給のみ
法定外労働 労働基準法で定められた1日8時間、週40時間を超えた労働 基本時給の125%以上の割増賃金

 

1. 所定外労働について
所定外労働とは、会社の就業規則や労働契約で定められた所定の労働時間を超えて行う労働のことを指します。
例えば、契約で1ヶ月の所定労働時間が120時間と定められている場合、その120時間を超えた分が所定外労働です。
具体的な計算例を以下に示します。

項目 説明
所定労働時間 120時間(月の契約で定められた時間)
実際の労働時間 150時間
所定外労働時間 30時間(150時間 – 120時間)
支払う賃金 基本時給(例:1,000円 × 30時間 = 30,000円)

※1日8時間、1週40時間を超えないものとして計算しています。

 

2. 法定外労働について
法定外労働は、労働基準法で定められた労働時間(通常、1日8時間または週40時間)を超えて行われる労働のことを指します。
法定外労働に対しては、基本時給額の25%以上の割増賃金を支払う義務があります。
割増賃金の計算例を以下に示します。

項目 割増率 基本時給 支払う賃金
法定外労働(25%割増) 25%  1,000円  1,250円(1,000円 × 1.25)
法定外労働(50%割増)  50%  1,000円 1,500円(1,000円 × 1.5)

残業代の計算方法の確認と注意点

残業代の計算において最も重要なのは、会社と従業員との間でどのような契約になっているかを確認することです。
例えば、会社が就業規則で法定外労働に対して30%の割増賃金を定めている場合、その基準に従います。

 

まとめ

残業代の支払いは労務管理の基本であり、会社の信頼を築く重要なポイントです。
所定外労働と法定外労働の違いを正しく理解し、契約に基づいた適切な支払いを行うことで、従業員との健全な労働環境を維持する必要があります。

この記事では説明しやすいようにシンプルな例を挙げましたが、実際には残業代の計算はもっと複雑です。
給与計算の間違いが起きるポイントにもなっています。

給与計算に不安を覚えたら、お気軽にご相談ください。

 

香川 昌彦

香川 昌彦

社会保険労務士法人こころ社労士事務所 代表
全国社会保険労務士連合会(登録番号第27190133号)
大阪府社会保険労務士会(会員番号第22072号)
大阪府中小企業家同友会 三島支部 情報化広報委員長
茨木商工会議所専門家相談事業 専門家相談員
大阪府働き方改革推進支援・賃金相談センター 訪問コンサルティング専門家
関西圏雇用労働相談センター 労働相談員

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