雇用契約書作成の手順とポイント

大阪府茨木市「こころ社労士事務所」香川昌彦です。
今回は雇用契約書の作成方法について簡単に説明します。

雇用契約書とは

雇用契約書とは、会社と労働者の雇用関係を明確化するために作成される文書です。雇用契約書の目的は、労働条件や権利義務を明示することにあります。これにより、会社と労働者の双方が互いの権利や義務を理解し、トラブルを未然に防ぐことができます。
雇用契約書は、労働者の権利保護を図る法的な根拠ともなりますので、企業と労働者の双方にとって不可欠なものです。

労働条件の明示

雇用契約書には、労働条件が明示されています。必ず明示しなければならない「絶対的記載事項」と該当する事項があれば記載しなければならない「相対的記載事項」があります。

  • 絶対的記載事項
    労働契約の期間
    就業場所
    従事する業務の内容
    始業時刻と終業時刻
    交代制のルール(労働者を2つ以上のグループに分ける場合)
    所定労働時間を超える労働の有無
    休憩時間、休日、休暇
    賃金の決定、計算、支払方法、締切日、支払日
    退職や解雇に関する規定
  • 相対的記載事項
    退職手当の定めが適用される労働者の範囲
    退職手当の決定・計算・支払の方法
    退職手当の支払時期
    臨時に支払われる賃金、賞与、精勤手当、奨励加給、能率手当について
    最低賃金額
    労働者に負担させる食費、作業用品など
    安全衛生に関する事項
    職業訓練制度
    災害補償・業務外の傷病扶助制度
    表彰や制裁の制度
    休職に関する事項

労働条件の明示は労働者にとって非常に重要です。明確な労働条件が示されることで、労働者は自身の権利を保護することができます。企業側も、雇用契約書で労働条件を明示することで、労働者とのトラブルを未然に防ぐことができます。労働条件の明確化は、雇用契約書の重要な役割の一つです。

会社の権利と義務

会社には雇用契約書を通じて、いくつかの権利と義務があります。
まず、会社側は雇用契約書に基づいて労働者に対して指示命令を出す権利を持ちます。これにより業務の円滑な遂行を図ることができます。また、会社は労働者に対して給与を支払う義務があります。給与は労働に対する対価であり、公正かつ適切な給与を支払う責任があります。さらに、企業側は雇用契約書に従い労働者の労働時間や休暇などの労働条件を守る義務があります。これにより労働者の労働環境を守り、健康かつ安全な職場環境作りにつながります。
会社はこれらの権利と義務を遵守し、労働者との間で公正で健全な雇用関係を築くことが重要です。

雇用契約書の作成方法とポイント

雇用契約書を作成する際の手順は以下の通りです。
まず必要な項目を確認しましょう。絶対的記載事項と相対的記載事項です。次に、それぞれの項目について詳細な内容を考えます。労働時間や給与、福利厚生など、雇用形態ごとに異なる項目に注意が必要です。労働基準法、労働契約法などの法律にも適合し、労働者の権利を尊重する内容にすることも重要です。

雇用契約書の作成にあたっては、以下のポイントに注意しましょう。
まず、明確で分かりやすい言葉を使うことです。労働条件や権利義務などの項目についても、誤解を生じないように具体的に表現しましょう。
次に、煩雑な文言や冗長な表現は避け、簡潔にまとめましょう。
最後に、契約締結前に労働者による確認と合意を得ることが必須です。雇用契約書は、雇用関係を明確にし、労働者と会社の関係を円滑にする重要な文書です。正確かつ明確な内容を盛り込むことで、トラブルや紛争の発生を防ぐことができます。
会社と労働者双方にとって公正な条件を定め、信頼関係を築くために、雇用契約書の作成には十分な注意が必要です。お互いに納得できる雇用契約書に合意することで、より良い労働環境を実現しましょう。

雇用契約書の作成には専門的な知識や経験が必要となります。しっかり確認して作成しましょう。疑問点があったり、時間的に厳しかったりする場合は 専門家(社会保険労務士)のアドバイスを受けることをおすすめします。

香川 昌彦

香川 昌彦

社会保険労務士法人こころ社労士事務所 代表
全国社会保険労務士連合会(登録番号第27190133号)
大阪府社会保険労務士会(会員番号第22072号)
大阪府中小企業家同友会 三島支部 情報化広報委員長
一般社団法人即戦力 理事
茨木商工会議所専門家相談事業 相談員
大阪府働き方改革推進支援・賃金相談センター 訪問コンサルティング専門家
関西圏雇用労働相談センター 労働相談員

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