こんにちは。こころ社労士事務所の香川です。
「退職した社員から『離職票を早く発行してほしい』と言われたのですが、退職日から給与の締切日まで期間があって、まだ退職月の給与が計算できていません。この場合、離職証明書の賃金欄はどう書けばいいのでしょうか?」
このようなご相談をいただくことがあります。
給与計算が終わるまで待つべきなのか、それとも先に手続きを進めるべきなのか、迷ってしまいますよね。
結論からお伝えすると、
提出する時点で賃金額がまだ確定していない場合は、賃金額欄に「未計算」と記載して、期限内に提出することができます。
大切なのは、「給与計算が終わるまで待つこと」ではなく、まずは期限内に手続きを行うことです。
今回は、この取扱いについて整理してみましょう。
なぜ「未計算」で提出できるのでしょうか?
離職証明書は、原則として資格喪失日の翌日から10日以内にハローワークへ提出しなければなりません。
一方で、会社によっては、
- 月末退職だけれど給与締切は翌月20日
- 歩合給や残業代が確定していない
- 勤怠集計に時間がかかる
といった理由で、期限までに賃金額が確定しないことがあります。
だからといって給与計算を待ってしまうと、離職証明書の提出が遅れ、その結果、退職された方の離職票の交付や雇用保険の基本手続きにも影響が出る可能性があります。
そこで認められているのが、「未計算」という取扱いです。
退職された方を待たせないために設けられている実務上の取扱いと考えると分かりやすいですね。
「未計算」で提出するときの流れ
実務では、おおむね次のような流れになります。
① 賃金額欄に「未計算」と記載する
提出時点で賃金額がまだ確定していない場合は、該当する賃金欄に「未計算」と記載します。
② 期限内に資格喪失届・離職証明書を提出する
給与計算が終わるのを待たず、提出期限までに手続きを行います。
③ 賃金確定後、ハローワークの案内に従って対応する
その後、賃金額が確定したら、ハローワークからの案内や依頼に従って、賃金額の報告や必要書類の提出などを行います。
つまり、「期限内に提出すること」と「正しい賃金額を届け出ること」の両方を実現するための取扱いなのです。
「未計算」と書けるのは、どんな場合?
ここは間違えやすいポイントです。
退職日と給与締切日が異なるからといって、自動的に「未計算」になるわけではありません。
判断基準は、提出する時点で賃金額が確定しているかどうか。
これだけです。
例えば、
- 退職日と給与締切日が同じでも、すでに給与計算が終わっている場合
- 勤怠も確定し、賃金額が算出できている場合
であれば、「未計算」ではなく、確定した賃金額を記載します。
逆に、締切日がまだ先であっても、何らかの理由で賃金額が確定しているのであれば、その金額を記載します。
つまり、「締切日」で判断するのではなく、提出時点で賃金額が確定しているかどうかがポイントです。
私が事業主のみなさまにお伝えしていること
退職時の手続きは、会社にとっては事務手続きの一つかもしれません。
しかし、退職される方にとっては、新しい生活への第一歩でもあります。
離職票がなければ、雇用保険の手続きを進めることができません。
だからこそ私は、「正確さ」と同じくらい、「スピード」も大切にしてほしいとお伝えしています。
「未計算」という取扱いは、会社の給与計算の都合で退職された方を待たせないための制度です。
期限内に届け出を行い、その後必要な対応をきちんと行う。
そうした一つひとつの積み重ねが、最後まで従業員を大切にする会社の姿勢につながると、私は考えています。
まとめ
今回のポイントを整理します。
- 提出時点で賃金額が確定していない場合は、「未計算」と記載して提出できる
- 離職証明書は、原則として資格喪失日の翌日から10日以内に提出する
- 給与計算の完了を待つのではなく、期限内提出を優先する
- 賃金確定後は、ハローワークの案内や依頼に従って必要な対応を行う
- 「未計算」と記載するかどうかは、給与締切日ではなく、提出時点で賃金額が確定しているかどうかで判断する
「退職者が出たけれど、給与計算がまだ終わっていない。」
「離職証明書を急いで提出したいけれど、この書き方でいいのだろうか。」
そんなときは、お気軽にご相談ください。
こころ社労士事務所では、退職時の雇用保険手続きから給与計算、日々の労務管理まで、会社の実情に合わせてサポートしています。
次回の「社労士が解説」も、どうぞお楽しみに。