大阪府茨木市の社会保険労務士法人こころ社労士事務所です。
今回は社会保険・雇用保険加入の方法と注意点について解説します。
社会保険・雇用保険の加入方法
中小企業における社会保険や雇用保険の加入手続きは、従業員の安定と会社の健全な運営に欠かせない重要な業務です。
法定の手続きを怠ると、従業員に不利益をもたらすだけでなく、会社も法的なリスクを負う可能性があります。
ここでは、基本的な加入方法と手続きのポイントを詳しく説明します。
1. 雇用保険の加入方法
雇用保険は、失業時の支援や就職促進を目的とした制度で、従業員の生活の安定に寄与します。
加入対象企業
項目 | 内容 |
対象企業 | 業種・規模問わず、従業員を1人以上雇用している事業主 |
加入対象者
項目 | 内容 |
加入対象者の条件 | 雇用形態を問わず、次の条件のいずれかを満たす場合 |
・期間の定めがなく雇用される場合 | |
・雇用期間が31日以上である場合 | |
・雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇止めの明示がない場合 | |
・週の所定労働時間が20時間以上である |
手続きの流れ
手続きステップ | 内容 |
ステップ1 | 雇用契約を締結します |
ステップ2 | ハローワークに雇用保険被保険者資格取得届を提出し、必要な情報を登録します |
ステップ3 | 加入後、従業員の給料から保険料を控除し、年度更新の際(納付期限:7月10日まで)に納付します |
雇用保険の注意点
・正社員等と同じ基準で加入: 雇用保険への加入は、正社員と同じ基準で行われます。パートやアルバイトであっても、一定の条件を満たせば加入が必要です。
・昼間学生の取り扱い: 日中に学校に通う昼間学生は雇用保険の対象外です。しかし、卒業見込証明書を持つ学生、休学中の学生、社会人大学院生、特定の条件を満たす場合は加入対象となります。
2. 社会保険の加入方法(厚生年金・健康保険)
社会保険は、従業員の老後の生活や医療費の負担を軽減するための制度です。
加入対象企業
項目 | 内容 |
対象企業 | 株式会社などの法人事業所、または従業員が常時5人以上の事業所 |
加入対象者
項目 | 内容 |
加入対象者の条件 | ・適用事業所に使用される70歳未満の方(健康保険は75歳まで) |
・パートやアルバイトであっても、一般社員の労働時間の4分の3以上である場合 | |
・労働時間が短い場合でも、特定適用事業所(被保険者数が51人以上)の条件を満たす場合 |
手続きの流れ
手続きステップ | 内容 |
ステップ1 | 専門家(社会保険労務士など)と相談し、適用事業所であるか確認します |
ステップ2 | 新規適用届や被保険者資格取得届を管轄の年金事務所に提出します |
ステップ3 | 従業員の給料から保険料を控除し、会社と従業員で保険料を折半して納付します |
社会保険の注意点
・加入要件の厳守: 雇用形態にかかわらず、条件を満たした場合は必ず加入手続きを行いましょう。週の所定労働時間や労働日数が正社員の3/4以上であることが基本的な加入条件です。
・特定適用事業所の要件: 従業員数が101人以上(2024年10月からは51人以上)の事業所では、週20時間以上勤務し、2か月を超える雇用見込みがあり、賃金が月額8.8万円以上の非学生の従業員も加入対象です。
3. 労災保険の加入方法
労災保険は、従業員が業務中や通勤中に事故や傷病に遭った際に、保険給付を行う制度です。
アルバイトを雇う際にも必ず加入手続きが必要です。
労災保険の注意点
・全ての従業員が対象: 正社員、パート、アルバイト、短期間のアルバイトも含め、雇用形態に関係なく全ての従業員が対象となります。
・給付対象: 業務中の事故や通勤中の怪我に対して、労災保険法に基づく給付が行われます。
4. 社会保険・雇用保険の加入手続きでのよくあるミスと対処法
加入手続きでのミスを防ぐためのチェックリストを活用し、手続きが漏れないようにしましょう。
よくあるミス
ミスの内容 | 対象法 |
パート・アルバイトを加入対象外と勘違い | 契約内容と労働時間を再確認しましょう |
高齢者の加入漏れ | 65歳以上でも加入可能かどうかを確認 |
高齢者の加入漏れ | 試用期間中でも報酬が発生しているか確認 |
学生の加入対象条件を誤解している | 学生でも条件を満たせば加入が必要 |
初めて顧問契約をご相談された際、データを拝見させていただくと加入漏れのケースが散見されます。
加入漏れは従業員に不利益を与えるばかりか、最長2年間遡って保険料が徴収されます。
加入要件には注意が必要です。
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