大阪府茨木市「こころ社労士事務所」の香川昌彦です。
先日令和5年度社会保険労務士試験が行われました。私が受験したのは平成17年です。独立が令和2年とだいぶ間が開いていますが、それは話が長くなるので別の記事に書いています。
独立開業までの経緯~「こころ社労士事務所」のルーツ
社会保険労務士という資格はあまりなじみがないと思います。少なくとも弁護士や税理士と比べれば知名度は低いです。
そこで今回は社会保険労務士試験の内容を説明し、合格してからどうする、ということに触れます。
社会保険労務士試験の科目数
まず科目数は8科目です。結構多いです。
試験科目 | 選択式 | 択一式 |
労働基準法及び労働安全衛生法 | 5点 | 10点 |
労働者災害補償保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。) | 5点 | 10点 |
雇用保険法 | 5点 | 10点 |
労務管理その他の労働に関する一般常識 | 5点 | 10点 10点 |
社会保険に関する一般常識 | 5点 | |
健康保険法 | 5点 | 10点 |
厚生年金保険法 | 5点 | 10点 |
国民年金法 | 5点 | 10点 |
合計 | 40点 | 80点 |
大きく分けて労働法と社会保険の各法律という構成です。
ちなみに「一般常識」の中身は、全く一般的ではない問題がかなりあります。
社会保険労務士試験の出題形式
出題形式は、午前に選択式、午後に択一式と呼ばれる形式で行われます。
選択式は穴埋め問題、択一式は一つの問いに対して正しいもの、あるいは間違っているものを一つ選ぶという形式です。どちらもマークシート形式で記述はありません。
それぞれ時間は午前に80分、午後に210分とかなり長丁場です。
社会保険労務士試験の難易度
社会保険労務士試験の難易度はというと、合格率は低いと言えます。
こちらは令和4年度試験結果です。
受験申込者数 52,251人 (前年 50,433人、対前年 3.6%増)
受験者数 40,633人 (前年 37,306人、対前年 8.9%増)
受験率 77.8% (前年 74.0%)
合格者数 2,134人 (前年 2,937人)
合格率 5.3% (前年 7.9%)引用:厚生労働省ホームページ
毎年4-5万人が受験し、合格者は2000人~3000人程度で合格率は4-6%です。
合格率の低さの要因は、受験者の多くが社会人であることがまず挙げられます。働きながら勉強をするので、どうしても準備不足になりがちなのです。3年がかりで合格する人も少なくありません。
そして、十分に勉強してもなかなか突破できない理由があります。それは科目別基準点があるということです。
選択式では各科目5点満点中3点以上、択一式は10点満点中4点以上の得点が必要です。これを基準点といいます。合計点が合格基準に達していても、ひとつでも基準点に満たなければいわゆる「足切り」となり不合格となります。
科目別合格がないため、不合格になると次年度にはまた全科目受験する必要があります。足切りに毎年かかり、心が折れて断念する方もいます。苦手科目を絶対に作れない試験なのです。
合格したらすぐ社会保険労務士の登録ができるわけではありません。実務経験が2年以上ない場合「事務指定講習」の修了が条件となります。私は実務経験がなかったので、この事務指定講習を受けました。
社会保険労務士試験合格後
試験では実際の書類の書き方は一切出題されません。あくまで法律論の世界です。試験内容と実務にかなりの乖離があるので、未経験で受験し合格してからまた別の勉強が始まります。
法律は毎年なんらかの改正があるので、それを追いかけ続ける必要もあります。法律をベースとした問題解決能力なども磨き続けなければいけません。
どの資格にも言えることですが、合格して資格を取るのがゴールではなく、そこがスタート地点なのです。
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