障害者雇用相談援助助成金について~令和6年創設の助成金~

茨木市の「こころ社労士事務所」代表の香川昌彦です。
障害者雇用に関しての新しい助成金が発表されました。名称は「障害者雇用相談援助助成金」。
以下のURLが厚生労働省の正式な説明となります。

障害者雇用相談援助助成金(厚生労働省)

ざっくりと説明すると、初めて障害者を雇用する会社・障害者法定雇用率未達の会社に対して、認定事業者が、採用や雇用管理に関する支援をした場合支給される、というものです。

「認定事業者」とは何かについての説明は以下のとおりです。

<法人要件>
障害者の一連の雇用管理に関する相談援助の業務の経験 又は 実務の経験(※)を有すること
※特例子会社、もにす認定企業等の障害者雇用の実務の経験を有する者が該当します。

<人員要件>
障害者の一連の雇用管理に関し、
・5年以上の業務又は実務の経験を有し、2年以上の総括的な指導監督の経験を有する事業実施責任者
・3年以上の業務又は実務の経験を有する事業実施者
等を配置していること。

<その他>
・法定雇用率を満たしていること
・その他、欠格事由に該当しないこと

障害者雇用のベテラン企業が、障害者雇用に不慣れな会社を支援したらもらえる助成金というイメージです。
注意が必要なのは、認定事業者に支給されるのであって支援を受ける事業者に対して支給される助成金ではないことです。

それはそうだろ、と思いました。そもそも障害者雇用義務がある会社が、支援を受けて助成金をもらえるなんて変な話ですから。「義務」なので、行なって当然なわけです。ちなみに「助成金」の性質は政府が「義務じゃないけど将来的に義務になるよ」「義務じゃないけどやってくれたらうれしいな」との取り組みに対して支給されるものです。

ちょっと話がそれますが、当たり前のこと(たとえばごく一般的に社員を採用する)に対して「何か助成金はありませんか?」と聞かれることがよくあります。そんなのあるわけないです。何か社会的意義があって、お金や時間がかかることだから助成金が支給されるのです。「もらえる」という表現自体が実はいびつで、何かにお金を使って、それに対して支給されるのが助成金の原則です。だから一時期大流行りとなった「人材〇〇助成金」はおかしいのです。社員にパッケージの教育訓練を受けさせて、かかった費用以上のお金が支給されるっておかしいですから。

話を元に戻すと、今回の助成金は興味深い助成金だと思います。障害者の助成金といえば、いままでは臨床心理士や医師等、国家資格者からなんらかの支援を受けたら支給されるものがメインでした。今回は「障害者雇用の実践者」って感じなので個人的には期待しています。理論も大事ですが、実際の障害者雇用の実態を共有することは大切だからです。

障害は特性がひとりひとり違います。その大前提で雇用しないとすぐに退職してしまいます。会社も障害者の方もお互いに「こんなはずじゃなかった」となります。その実態をわかっている会社さんの指導は支援される側の会社にも響くのではないでしょうか?

ただし「初めてじゃない」「法定雇用率を満たしている」会社にもなにか支援が欲しいところと思いました。法定プラスアルファに取り組んでいる会社こそ助成金に値すると思うからです。

「釣った魚には餌を上げない」的な施策が結構多いので、そのあたりは改善してもらえるとよいのに、と思います。

香川 昌彦

香川 昌彦

社会保険労務士法人こころ社労士事務所 代表
全国社会保険労務士連合会(登録番号第27190133号)
大阪府社会保険労務士会(会員番号第22072号)
大阪府中小企業家同友会 三島支部 情報化広報委員長
茨木商工会議所専門家相談事業 専門家相談員
大阪府働き方改革推進支援・賃金相談センター 訪問コンサルティング専門家
関西圏雇用労働相談センター 労働相談員

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