大阪府茨木市「社会保険労務士法人こころ社労士事務所」の香川昌彦です。
今回は「未払い残業代」について触れてみたいと思います。
はじめに
未払い残業代の問題は、多くの企業にとって深刻な課題です。特に、企業が未払い残業代を適切に管理しない場合、従業員からの請求が発生し、法的措置に発展する可能性があります。本記事では、未払い残業代の対策として、企業が取るべき具体的なステップについて解説します。
未払い残業代の問題を理解する
未払い残業代の問題は、労働基準法に基づき、従業員が労働時間を超えて働いた場合に支払われるべき追加の賃金が支払われていない状況を指します。これにより、従業員は過去の残業代を請求する権利を持ち、企業は過去3年間の未払い残業代を支払う義務が生じます。
企業が直面するリスクと対応方法
企業が未払い残業代請求を受けた場合、以下のような対応が求められます。
資料開示の義務
従業員からの請求があった場合、企業は就業規則、雇用契約書、賃金台帳、タイムカードなどの資料を開示する必要があります。これに応じない場合、裁判手続きに移行し、裁判所からの提出命令を受けることになります。
時効の管理
未払い残業代の請求権には時効があります。2020年4月1日以降の未払い残業代については3年間の時効が適用されますが、将来的には5年に延長される可能性もあります。
具体的な対策
反論書面の作成
企業は、従業員からの請求に対して反論書面を準備する必要があります。反論書面では、次のようなポイントを確認します
- 基礎単価の確認:
固定残業代やその他の手当が基礎単価に含まれていないかを確認します。 - 労働時間の確認
労働者の記録(手帳やライン記録など)と会社のタイムカードとの整合性を確認します。 - 休憩時間の記録
休憩時間が適切に記録されているかを確認し、未記録の場合は実態に基づいた時間を入力します。
固定残業代制度のチェック
固定残業代制度を導入している企業は、その制度が法的に有効であるかを確認する必要があります。賃金規程や雇用契約書において、固定残業代の趣旨が明確に記載されていることが重要です。
法的リスクの回避
企業は、未払い残業代の問題を放置せず、適切な対策を講じることで法的リスクを回避することができます。タイムカードや給与明細の管理を徹底し、労働時間の記録を正確に行うことで、従業員とのトラブルを未然に防ぐことが可能です。
労働時間の適切な把握
労働時間の適切な把握は、未払残業代を防ぐための基本です。勤怠管理システムの導入や、従業員の労働時間を正確に記録する仕組みを整えることが重要です。
おわりに
未払残業代の問題は、企業にとって大きな負担となり得ます。しかし、適切な対策を講じることで、法的リスクを回避し、従業員との信頼関係を築くことができます。本記事を参考に、企業としての労務管理を見直し、未払残業代の問題に対処いただければ幸いです。
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