値下げは「頑張ってる」のか?みんなで豊かになるためのヒント。

大阪府茨木市「社会保険労務士法人こころ社労士事務所」の香川昌彦です。2024年に入って物価上昇が顕著となっています。賃金も平均で約5%アップしました。「賃金が物価に追いついていない」というため息がそこここで聞こえてきますね。

日本では商品の価格を抑えることを美学のように考える傾向にあると言えます。たとえばラーメンの価格が1000円に迫ってきていますが、なんとか1000円以内で収めているお店は「頑張っている」と表現されます。店主自身も「頑張っている」と言ったりすることが多いです。

では値上げをした店は「頑張っていない」のでしょうか?もちろんそうではありません。コストカットには限界があります。

日本では「儲けるのは悪いこと」「お金は汚い」という意識が日本では強いように感じます。利益を追求することだけがビジネスではありませんが、きちんと利益を上げないと店主も社員も生活できません。削れるところを削っていったら人件費しか削るところが無くなるからです。

量を減らすと「ステルス値上げ」と言われます。
質を下げると「味が落ちた」と言われます。

だから人件費を抑えます。

それが「頑張っている」の中身です。

長期に渡るデフレで苦しんだのは、この「頑張る」マインドが大きかったのではないでしょうか?もちろん非正規雇用が増えたこと等、他にも要因はありますが「景気はムード」なのです。「気」は「ムード」のことです。

値上げを許さない⇢値下げが褒められる(頑張っている)⇢賃金が上がらない⇢お金が使えない⇢モノが売れない⇢値段を下げる・・・

負のサイクルに閉じ込められていたのです。

頑張るってなんでしょうか?

私は「幸せになるための努力をすること」と考えています。仕事もプライベートもです。お客様に喜んでもらうことが幸せ、という方はたくさんいらっしゃいますが、そのために自分を、そして他人を犠牲にしている方があまりにも多いと感じます。

たとえば仕事で喜んでもらうには「値下げ」や「価格据え置き」以外にできることはたくさんあります。たとえば飲食店なら、より美味しいものを提供したり、店の雰囲気を良くしたり、店員さんの接客を良くしたり、いろいろあります。

ただし値上げをすると「裏切られた」「応援していたのにもう行かない」「儲け第一主義になった」とか言われたりして、実際に値段を上げられないお店は多いと思います。値上げをして残念ながら倒産してしまうお店もあります。だから身を粉にして低賃金で長時間「頑張って」働くしか無い、となります。

別の側面から考えると、お客さんは消費者であると同時に生産者です。どこかで働き何かを生み出しています。自分が働いている会社が値上げをせずその結果賃金が上がらなくても「頑張っているから幸せだ。満足だ」とは絶対になりません。

しかしながら、自分が生産者であることを忘れ、他社に値下げを求める方が多数だから「値上げをせずみんなが貧乏になりみんなが不幸になる」という状態になるのです。

国と会社と自分自身はバラバラに存在しているわけではありません。国でも会社でも、もちろん自分自身についても誰もが主体者で、それぞれに役割を担っているのです。自分が社会の一部であることを放棄して「自分 vs  他人」「自分 vs 会社」「自分 vs 国」という認識が歪んだ個人主義を生み、みんなで不幸になる社会を創ってしまう大きな要因だと私は考えています。

自分が我慢をしたり他人に我慢させたりすることでは幸せになれません。みんなで幸せになるにはどうすればよいかを考え、行動する社会が豊かな生活を生み出すのです。

値下げは「頑張っている」のではありません。極端に言えば、自分だけが幸せになり他人の不幸はどうでもよいと考えている一つの証だと思います。そしてその不幸が自分にブーメランのように返ってくるのです。

過去に学び、未来を見つめ、今をみんなで築いていける社会になればいいな、と思います。私自身は社労士として、豊かな会社を創るサポートをして会社を豊かにし、国を豊かにし、もちろん自分自身も豊かにして幸せになろうと思います。

 

香川 昌彦

香川 昌彦

社会保険労務士法人こころ社労士事務所 代表
全国社会保険労務士連合会(登録番号第27190133号)
大阪府社会保険労務士会(会員番号第22072号)
大阪府中小企業家同友会 三島支部 情報化広報委員長
茨木商工会議所専門家相談事業 専門家相談員
大阪府働き方改革推進支援・賃金相談センター 訪問コンサルティング専門家
関西圏雇用労働相談センター 労働相談員

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