社会保険労務士法人こころ社労士事務所です。
今回は、数年ごとに実施される日本年金機構(年金事務所)の「事業所調査」についてまとめました。
どの企業様も調査の対象となりますので、調査実施のお知らせが届いたときには慌てず対応できるようにしておきましょう。
【年金事務所の調査の概要】
年金事務所の調査は、企業が年金に関する手続きを正しく行っているかを確認するためのものです。
具体的には、以下のような点が確認されます。
・加入者にもれがないか
・標準報酬月額(毎月の社会保険料を決める基準となる金額)や保険料の控除額が間違っていないか
・扶養者の要件を満たしているかどうか
【調査に必要な書類】
調査前には、企業が準備すべき書類の案内が郵送で届きます。
必要な書類には以下のものがあります。
・調査票(年金事務所から郵送)
・賃金台帳
・出勤簿(またはタイムカード)
・源泉所得税の納付書
以下は場合によっては提出が求められるもの
・雇用契約書(または労働条件通知書)
・労働者名簿
・退職日が確認できる書類(退職届など)
・就業規則
・有給取得申請書 など
【調査で確認される具体的な項目】
調査では、以下のような具体的な項目が確認されます。
・賃金の締日、支払日
・事業所や事業主の登録情報の変更の有無
・社会保険の未加入者の確認
・算定基礎、月額変更、賞与支払届が未提出になっていないか
・資格取得時、喪失時期が正しいかどうか
・資格取得時や現在の報酬額が実際の支給額と著しく乖離していないか
【調査員が賃金台帳を見るときのポイント5選】
年金事務所の調査員の方は賃金台帳などをかなり細かく見ていますが、
特に指摘されることの多い部分をピックアップしました。
1.【未加入者】
労働日数・労働時間➡社会保険加入条件に当てはまる従業員の加入もれが多いです。
加入条件を満たした月から加入。最大2年遡って加入手続きをします。
2.【月額変更】
固定給(基本給や固定手当)の変動➡変動後3カ月間の給与総支給額の平均額が、それ以前の等級と2等級以上差がある場合は、月額変更届の提出が必要になります。
3.【資格取得時の標準報酬月額】
資格取得届で申請した金額と実際の給与金額との乖離➡入社(資格取得)後に給与額が変更・通勤手当の算入もれなどが多く見られます。
資格取得時の訂正が必要になります。
4.【賞与】
毎年決まった時期に不自然な手当(賞与と思われる)が出ている➡賞与支払届が未提出の場合が多いです。
実体的に賞与である場合は、賞与支払届を提出しなければいけません。
5.【算定基礎届】
未提出➡毎年7月に提出しなければいけない届書です。
この届書で当年9月~翌年8月までの社会保険料の金額が決まりますので、必ず毎年提出しましょう。
【調査の結果と対応】
調査で加入もれや標準報酬月額の訂正、賞与支払届の未提出などの不備が発覚した場合、企業は加入や報酬月額変更の届出を拒むことはできません。
加入要件を満たしていることが明確であるときは、年金事務所より加入の届出をするように指示されます。
もし届出を拒んだ場合、年金事務所の権限で強制的に加入手続が行われることもあります。
届出後、年金事務所での処理が完了したら、適切な加入月・標準報酬月額で不備として指摘された分の社会保険料が発生します。
遡及は最大2年です。事業所調査で不備が大量に発生してしまった場合、追徴の金額も大きくなってしまう可能性がありますので、
適切に社会保険へ加入し、保険料を納付するよう日々心がけましょう。
【事業所調査の重要性】
社会保険に関する法令を正しく遵守し、従業員が適切な社会保険の給付を受けられるようにするために非常に重要なものとなります。
数年に1度の事業所調査は、日頃から届出の提出や賃金台帳の管理等しっかりと行っていれば、対応することが可能です。
とはいえ、日々の手続きは専門的な知識が必要となる場合もあるので、
専門家などに頼るということもひとつの手だと思います。
こころ社労士事務所では、皆様の負担が少しでも減らせるようお手伝いをさせていただきます。
ぜひ一度お問い合わせくださいませ!
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