精神疾患への偏見:薬を飲むことの理解

大阪府茨木市「社会保険労務士法人こころ社労士事務所」の香川昌彦です。
私自身が双極性障害(躁うつ病)という疾患をかかえていることは何度がブログで触れさせていただきました。

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今回は「精神疾患と服薬」について、考えを述べたいと思います。

精神疾患に対する誤解

精神疾患の治療で薬を服用していると「薬に頼っている」と言われることがあります。これは、薬を使うことが依存や弱さの象徴と見なされているためです。「そんなことをしているから治らない」との言葉を受けることもしばしばです。
このような表現が精神疾患に対してのみ使われる背景には、無意識の偏見が存在しています。

他の病気において同じような表現が使われることはほとんどありません。例えば、視力が低くてメガネを着用している人に「メガネに頼っている」と言う人はほとんどいません。同様に、高血圧の患者が薬を飲んでいることに対しても「薬に頼っている」とは言わないでしょう。
これは、視力や血圧の問題が物理的な問題として認識されているためです。

精神疾患に対する偏見

精神疾患は「こころが弱いからなるもの」と誤解されることが多いです。しかし、実際には精神疾患は脳の機能に関連する疾患の一部です。うつ病や不安障害、統合失調症などの精神疾患は、脳の化学物質のバランスが崩れることで発症します。そのため、心理療法だけで治るものではなく、薬物療法が必要な場合も多いのです。
精神疾患を持つ人に対して「気持ちで治せ」と言うことは、骨折をした人に「気持ちで治せ」と言うのと同じくらい無理なことです。心の病気も体の病気と同じように、適切な治療が必要です。

他の病気との比較

視力が低い人がメガネは屈折率を補正することによって焦点を改善し見やすくします。高血圧の人は薬を飲むことにより血圧をコントロールし心疾患や他の疾患を予防します。批判の対象にはなりません。
しかし、精神疾患の場合は、心の弱さや意志の問題として捉えられることが多く、これが偏見の原因となっています。精神疾患も脳の機能に関連する物理的な問題であり、適切な治療が必要です。

誰もがかかりうる精神疾患

精神疾患は誰にでも起こりうる病気です。こころが弱いからかかる病気ではありません。何かのきっかけで発症する可能性があり、その場合、薬物療法なしで治療するのは困難です。症状が悪化すると、障害として長期間続くこともあります。精神疾患を持つ当事者としては、病気について正しい理解を持ってほしいと思います。

精神疾患の治療への理解と支援

精神疾患の治療は、心理療法と薬物療法を組み合わせることが一般的です。薬物療法は、脳の化学物質のバランスを整えるために必要な手段であり、これによって症状の緩和や改善が期待できます。また、心理療法は、患者の心の状態を安定させるための重要なサポートとなります。

精神疾患に対する理解を深め、偏見をなくすためには、正しい知識を持つことが必要です。精神疾患は特別な病気ではなく、適切な治療が必要な普通の病気です。社会全体で精神疾患への理解と支援を進めることで、精神疾患を持つ人々が安心して治療を受けられる環境を整えることが求められます。

「知り合いに見られないように遠くの精神科に行く」患者はたくさんいるのです。

香川 昌彦

香川 昌彦

社会保険労務士法人こころ社労士事務所 代表
全国社会保険労務士連合会(登録番号第27190133号)
大阪府社会保険労務士会(会員番号第22072号)
大阪府中小企業家同友会 三島支部 情報化広報委員長
茨木商工会議所専門家相談事業 専門家相談員
大阪府働き方改革推進支援・賃金相談センター 訪問コンサルティング専門家
関西圏雇用労働相談センター 労働相談員

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