大阪府茨木市「こころ社労士事務所」の香川昌彦です。
今日は人事評価制度の肝である人材育成のフィードバックに時間を割いた一日でした。ふと大昔、サラリーマンだったころの話を思い出しました。
私の事実上最後のサラリーマンとしてのキャリアは、超高級ホテルの人事課長でした。あまり長くは在籍していませんでしたが、非常に勉強になることがありました。 経営理念を従業員に周知させることが徹底しているのです。
まず、就業規則とは別に、「Company Policy Book」というのがあり、十数ページに渡って、どのような行動指針で働くかが書いてあります。 で、その集約版として、手帳くらいのサイズの「Company Policy Hand Book」というのがあり、それは普段従業員が持ち歩いています。
さらに、要点だけを書いた、名刺サイズの「Company Policy」というカードを持っていました。
そこまで徹底する理由は、超高級ホテルという性質上お客さまからの要望に対して、上司の判断を待たずに、自分で判断しなければいけないからです。
いちいち上司に聞きに行ったのでは、それだけでそのホテルに対する印象が悪くなるのです。 だから即座に判断する必要があります。 判断材料は「経営理念」に則っているかどうか。 それだけです。
もちろん、その対応についての事後報告は行います。 マネジャーの役目はその対応が適切だったかどうか、他の対応がなかったか部下と話し合うことです。 お客さまの満足度もきちんとヒアリングします。 自立した部下を育てなければ、ホテルではやっていけないのです。
ホテルは24時間365日営業なので、ずっと部下を見る、ということができません。 また、超高級ホテルという性質、お客さまの満足が100%は当然で、120%、130%にして、「ここまでしてくれるのか!」という驚きが必要です。 だから個々の従業員に権限委譲しないと成り立たない業種、ということになります。 これについていけなくなって、辞める方も多いです。 指示を待って動く、という種類の職種ではないからです。
このマネジメントの手法、ホテルだけが特殊かと言えばそうではないような気がします。 ホテルの前に働いていた製薬企業でも、私はほとんど自分で考えなければならない、という種類の仕事がものすごく多かったです。 行き詰ったら上司に聞きますが、そうでなければ、自分で突き進む。 仕事の最終型まで自分で持っていかないといけない。 その仕事も、大抵は自分が提案したなにかのアイデアで、上司が「それで進めてください」というだけで、私に完全に任せていました。 仕事はハードですが、窮屈ではありませんでした。 本筋から外れなければ何をしてもいい、というのが私には合っていました。
「指示された仕事だけをしていればいい」というだけでは上司の器以上に社員は育ちません。自分で判断できる人材育成をしなければ会社の成長はありません。個々の仕事のフォローは大切です。ただしそれだけでは不十分です。別のバリエーションの仕事に対応できず、もぐらたたきになってしまいます(表現が古くてすみません・・・)。
人材育成をし業績向上につなげるためには経営理念とビジョンの浸透が絶対に必要なのです。
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