大阪府茨木市「こころ社労士事務所」の香川昌彦です。
今回はアサーションについて少し書いてみようと思います。言葉の伝え方の話です。
言葉の伝え方、受け止め方が難しいことは以前取り上げました。
ハラスメントと言葉の暴走
当たり前ですが、コミュニケーションっていうのは、双方の意見の交換です。 「伝える」「受け止める」って結構難しいですよね。 「自分の誤解」と「相手の誤解」が組み合わさって「人間関係のトラブル」に発展するのです。
アサーション(assertion)って聞いたことのない人の方が多いかもしれません。 直訳すると「自己主張」。 ただこれだと、それこそ誤解を招きそうなので、私は「相手を尊重し、自分も尊重して誤解が起きないように、誠意を持って相手に自分の考えを伝えること」という、ちょっと長い解釈を入れます。
概念はつまらないので、例を挙げてみます。
上司「何故、今日までの仕事が出来なかったんだ!」
部下「・・・すいません・・・」
上司「もういいよ、君には頼まないから!」
どちらもストレスです。 上司は怒っているし、自分も言いたいことはあるのに、言えなくてストレスが溜まる。 内向的な人によくある例だと思います。
もっと 攻撃的な例を挙げると次のようになります。
上司「何故、今日までの仕事が出来なかったんだ!」
部下「私だって忙しいんです!なんで私にばっかり仕事を押し付けるんですか!」
上司「給料をもらっているので仕事をするのは当然だろ!忙しいのは君の手際が悪いからだ!」
どちらも発言はしていますが、後味が悪いだろうなって思います。 売り言葉に買い言葉の状態です。
この会話にアサーションを取り入れてみます。
上司「何故、今日までの仕事が出来なかったんだ!」
部下「申し訳ありません。途中で報告するべきでした。今、先輩のBさんからデータ入力の仕事を頼まれていて、その仕事に時間を割いており期限内に終わらせることが出来ませんでした。仕事の優先順位のつけ方と作業時間の見積もりが甘かったです。今後気をつけます。」
上司「途中で確認しなかった私も悪いかもしれないね。でもやっぱり仕事の期限は大切だから私が気付かなくても、今後は報告してください。他のメンバーに任せるという方法もあるのだから」
部下「そうします。」
何気なく例を挙げましたが、上司・部下ともアサーションを使ったケースです。
上司の対応: どんな理由があるにせよ、期限内に終わらせることの重要性を説明する。出来そうにないときの対処法を部下に伝える。
部下の対応: 期限内に終わらせなかったのは事実なのでまず謝る。出来なかった背景を伝える。
もちろん会話ってこんなにシンプルではありません。 いろんなケースがあります。 ただ、アサーションの解説だけで1冊の本が出来てしまうので、あえてシンプルな例を挙げました。
概念的な話をすると、アサーションは「98%の誠意、1%の勇気、1%のテクニック」です。 専門的な話ではなく、私の解釈です。
相手がどう思うか、何を考えているのかは正直わかりません。だからこそ自分や誰かを責めるのではなく、課題を解決する努力がお互いに必要なのです。言い争うことが面倒だから何も話さないという行動も、中長期的には お互いにとってマイナスでしかありません。どこかのタイミングで爆発して取り返しがつかなくなります。
部下「前から思っていましたが・・・・・」
上司「私だって前から・・・・・・・・」
言うべきことを誠意をもってきちんと伝える。それだけで風通しのよい職場環境が生まれると思います。
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