大阪府茨木市「こころ社労士事務所」の香川昌彦です。
今回は労働時間の計算方法について解説します。
労働時間と休憩時間
まずはタイムカードの使い方です。タイムカードは、業務の開始時間と終了時間を正確に記録するためのツールです。従業員は毎日、出勤時にタイムカードを打刻し、退勤時にも打刻します。
次に休憩時間の扱い方です。労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合には、45分以上の休憩時間を取ることが義務付けられています。8時間を超える場合は60分です。この休憩時間は労働時間から差し引く必要があります。
以上が労働時間の計算方法についての基本的な解説です。労働時間の正確な計算は、従業員の労働条件の遵守や残業代の適切な支払いにつながります。
労働時間と残業代の計算方法
残業の定義は、労働基準法によって定められています。労働時間が労働基準法や就業規則で定められた基準(法定労働時間)を超えた場合には、残業となります。残業時間には法定内残業と法定外残業があり、これらの違いを理解することも重要です。さらに、深夜残業や休日労働もあります。
法定内残業とは会社で定めた所定労働時間を超えて労働するが、労働基準法で定められた法定労働時間を超えない残業です。法定労働時間は1日8時間、1週間40時間と定められています(変形労働時間制では異なりますがここでは触れません)。法定外残業はこの労働時間を超えた残業です。
たとえば1日の所定労働時間が7時間の会社の場合を考えます。ある日の労働時間が7時間30分だった場合、残業時間は30分です。ただし法定労働時間8時間以下です。この場合法定内残業となります。割増率は0%です(もちろん就業規則の定めにより割増をしても構いません)。
次に1日の所定労働時間が8時間の会社の場合です。ある日の労働時間が8時間30分だった場合、残業時間は30分です。この場合、法定労働時間8時間を超えていますので、法定外残業となり、割増賃金が発生します。割増率は月60時間以下なら25%、60時間超だと50%です。
深夜残業は午後10時から午前5時までの労働時間です。
たとえば午後10時から午後11時まで働いた場合は深夜残業となります。
割増率は25%です。注意が必要なのは、法定外残業の割増に加算されることです。
この場合の労働時間が法定外残業だったとすると、割増率は25%(法定外残業)+25%(深夜残業)=50%となります。
休日労働とは、法定休日労働と法定外休日労働に区分されます。
法定休日とは、労働基準法にて1週間に1回、または4週間に4回必ず定めなければならない休日です。
たとえば、ある会社が土日休日で、土曜日を法定外休日、日曜日を法定休日と定めているとします。
日曜日に働くと法定休日労働となり35%の割増賃金が発生します。では土曜日の法定外休日の場合割増が無いかといえばそうではない場合があります。
たとえば、月曜日から金曜日の労働時間の合計が40時間だったとします。土曜日に8時間働いた場合、週の労働時間合計は48時間となり法定労働時間の40時間を8時間超えます。よってこの8時間は法定外残業として取り扱われ25%の割増が発生するのです。
残業時間の管理とリスク
残業の管理とリスクについても考慮する必要があります。残業時間の厳密な記録と管理は、違法な残業を防ぐためにも重要です。違法な残業には罰則があり、会社にとって大きなリスクとなります。違法な残業によって労働者の健康や安全が損なわれ、企業の信頼性や社会的な評価が低下する可能性もあるのです。
また、残業代未払いによるトラブルへの対処法も検討する必要があります。正確に労働時間を計測し、タイムカードや出退勤の記録を適切に扱うことで、労働基準法に違反するリスクを最小限に抑えることができます。さらに、労働時間の管理は労働者の健康や労働環境の改善にもつながります。
労働時間と残業代の改善策として、業務の効率化や時間の見直しを行い、残業の削減策を導入することも有効です。さらに、法定外の手当や福利厚生の導入も検討することで、労働時間と残業代の改善につなげることもあります。
不安な場合は社会保険労務士に相談
労働基準法に則った正確な労働時間の記録と残業代の支払いをしていない会社は残念ながら少なくありません。ただし意図的に未払いの場合と意図せず未払いになっている場合があります。
自社の残業代の支払が適切かどうか不安な場合は社会保険労務士に一度相談することをおすすめします。
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