大阪府茨木市「社会保険労務士法人こころ社労士事務所」の香川昌彦です。
就業規則の作成・改定は弊社が依頼を受ける仕事のトップ3に入ります。社員数10人未満の会社が半数以上です。
ご存じの方も多いでしょうが、労働基準法では、常時10人以上の社員を雇用している企業には就業規則の作成・届け出が義務付けられています。逆に言えば10人未満だとその義務が無いわけです。
しかしながら、社員数が10人未満の会社でも、就業規則を持たないことで様々なデメリットが発生する可能性があります。そのことを知っている社長から就業規則作成の依頼を受けるのです。
そこで今回は、就業規則が無いことで生じる問題点について、具体例を交えてご紹介します。
1. 労務トラブルの増加
就業規則がないと、労働条件や社内ルールが明確にされていないため、社員間で認識のズレや誤解が生じやすくなります。例えば、残業時間の計算方法や休暇の取得条件が不明確だと、社員と経営者の間で意見の対立が起こることがあります。このような状況が続くと、労務トラブルが増え、社内の雰囲気が悪化し、生産性の低下につながります。
2. 公平性の欠如
就業規則は全社員に共通のルールを提供し、公平性を確保するための重要なツールです。例えば、昇給や賞与の基準、昇進の条件などが明確に示されていれば、全社員が同じ基準で評価されることが保証されます。就業規則がないと、個別の判断で対応することが増え、公平性が欠ける恐れがあります。これにより、社員のモチベーションや信頼感が低下し、優秀な人材の流出リスクが高まります。
3. 法的リスクの増大
就業規則には、労働基準法などの法令に基づく規定を反映させることが求められます。これにより、会社が法的リスクを回避する基盤が提供されます。就業規則がない場合、法令違反のリスクが高まり、罰則や訴訟の対象となる可能性があります。未払い残業代の請求や不当解雇の訴訟が発生すると、経営に大きな打撃を与え、企業の評判にも悪影響を及ぼします。
4. 社員のモチベーション低下
明確なルールが存在しないと、社員は自身の立場や業務内容に対する不安を感じやすくなります。特に昇進や評価の基準が不透明だと、社員のモチベーションが低下し、生産性の低下や離職率の上昇につながります。例えば、業績評価が明確でないと、努力が正当に評価されないと感じる社員が増える可能性があります。このような状況が続くと、優秀な人材が他社に転職することも考えられます。
5. 労務管理の複雑化
就業規則があることで、労務管理の基準が明確になり、効率的な運営が可能となります。例えば、出勤・退勤の管理や、有給休暇の付与方法、福利厚生の利用条件などが明確であれば、管理業務がスムーズに進行します。就業規則がないと、個別のケースごとに対応が必要となり、管理者の負担が増え、業務効率が低下します。また、特定の社員に対する対応が一貫しない場合、他の社員からの不満が出ることも考えられます。
まとめ
社員数が10人未満の企業でも、就業規則の作成は会社経営において非常に重要です。就業規則を整備することで、労務トラブルの防止、公平性の確保、法的リスクの軽減、社員のモチベーション向上、そして効率的な労務管理が実現できます。
何かトラブルがあったときに「作っておけばよかった・・・」では遅いのです。
初回相談は無料なので、お気軽に弊社にお問い合わせください。
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