表現の単純化とSNS~行間がないメディア~


SNSって非常に便利なツールだと思います。基本的にはお金がかからないし、気軽に投稿できます。一昔までハードルが高かった自己表現ができる場ですよね。

ただ、大きなリスクを背負っていのもSNSです。1つの投稿をじっくり読むことはまずありません。残るのは印象だけです。ラーメンが美味しそうだったとか、景色がきれいだったとか。そんな害のない話ならよいのですが、なかには負の感情をまじえた投稿もあります。〇〇で腹がたった。〇〇で傷ついた。等です。この種の投稿がやっかいで、たぶん炎上という憂き目にあってしまうのかなと思います。

端的に発言するメディアだから、前後の文脈を説明する隙間はありません。結果としての負の感情だけが表に現れるのでざわついてしまうわけです。で、これはSNSの使い方の問題と健全なコミュニケーションのあり方に深く関係します。

人間の感情には主に4つありますよね、「喜怒哀楽」です。この中で「怒」の投稿が荒れやすい傾向があるように思えます。表現もセンセーショナルになるので目のつきやすい。とすればSNSは炎上目的では無い限り「怒」の感情表出には向かないメディアということになります。

けれども私は思っていしまいます。人間だからいろんな感情があるのは当然だろうと。それが人間だからです。喜んだり、怒ったり、哀しんだり、楽しんだり。それが人の彩りです。SNSでその「怒」の部分の表現ができなければ(できないことはありませんが)、人となりとを示すメディアとしては不十分であると言わざるを得ません。

「SNSが勝ち組が利用するもの」と言われたりしますが、自分のしんどい部分、暗い部分を出せないメディアだから「俺って幸せ!」的な投稿が増えるのも仕方ないこともあり、そのように映るのでしょう。もちろんそんな方だって悩みや怒りはたくさん抱えていて、それがSNSにあらわれていないだけです。

いうなれば、普通の人にとってのSNSで表現できるペルソナは「毒を抜いた無害の私」です。「印象良さそげな人」です。

自分の複雑なパーソナリティーを説明するって非常にに難しいな、と感じます。私自身、どんな人かわかってもらえないと仕事をお願いしようがないと思ったから、いろいろSNSに考えを書いてきました。基本的には穏やかな内容が多いですが、毒のある鋭い意見も散発させています。私は聖人君主ではないのですべてのことを受け入れることはできませんし、社会保険労務士としてニュースを紹介するときに、なんの感想もない事実の羅列と投稿してのあまり味がないからです。それの含めていろんな方に私の人となりを知っておらうことができました。

ただ、ここに来て岐路に立っていると感じます。投稿の細切れの激しい部分を切り出し、それはいけないと批判されることも増えました。あなたはそんなことを書くキャラではないだろうと。がっかりしたと。

でも、それは私の人格の一部です。激しい部分も含めて私です。ただし、その表現に至った前後の文脈を説明するのにSNSは向いていません。後追いの説明はさらなる大炎上を生み、デジタルタトゥーとなって半永久的に残り続けます。それぞれの断片が切り離されたままで。

文章だともう少し変わってくるのかな、と最近思い始めました。部分的な鋭い言葉もなぜその言葉がでたのかキチン説明できるから。批判が合ってもまとまった文章量で誠実にお答えすることもできるから。

SNSが生むのは議論ではなく罵り合い、煽り合いです。SNSが未発達だった時代でもメールだけのやりとりで社内や社外の人間関係が荒れることは多々ありました。要件だけを切り出した言葉は危険なのです。一見無駄に見えるその前後の文脈に価値があります。文脈を読み取ることで行間が見えてきて本当の主張が見えてきます。

SNSは今後も利用すると思います。ただそこで私の考え、特に国の制度や企業のあり方についてはニコニコと穏やかに書ける内容ではないと思います。

丁寧に書くために、その場はブログに移します。異論、共感含めて自分の社会保険労務士としてのあり方、経営者としてのあり方、人としてのあり方を少しずつこの場に書いていきたいな、と思っています

香川 昌彦

香川 昌彦

社会保険労務士法人こころ社労士事務所 代表
全国社会保険労務士連合会(登録番号第27190133号)
大阪府社会保険労務士会(会員番号第22072号)
大阪府中小企業家同友会 三島支部 情報化広報委員長
一般社団法人即戦力 理事
茨木商工会議所専門家相談事業 相談員
大阪府働き方改革推進支援・賃金相談センター 訪問コンサルティング専門家
関西圏雇用労働相談センター 労働相談員

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