「引きこもり」を考える。

大阪府茨木市「こころ社労士事務所」の香川昌彦です。今回は「引きこもり」についての考えを書いてみようと思います。

私は「引きこもり」という言葉にどうしても抵抗があります。外に出る出ないの選択肢はなく、精神疾患で外出できないというケースも多いからです。さらに言えば、精神疾患は気持ちの問題ではなく脳の病気です。気合いとか前向きな気持ちとかはあまり関係ないのです。
意思で治る病気ならみんな苦労しないのです。

誤解の無いように言いますが、私は言葉狩りは好きではありません。たとえは「障害」「障がい」等。
法律用語に合わせるという基準で私は「障害」に統一していますが、「障害と書くな」というコメントはたまにいただきます。
だけど、それは当事者からの声ではなく外野(関係者であろうとも)からの声で、当事者からは指摘されたことはありません。言葉なんかどちらでもよく、理解してもらい支援してもらえたらそれでいいのです

引きこもりの話に戻ります。政府は引きこもり対策を考えています。それは良いことだと思います。
ただ、就職氷河期世代対策とごっちゃにしていないかという危惧があります。仕事があれば、あるいは仕事を得るために必要なスキルと能力を教育すれば引きこもりは無くなる、というのはかなり違います。それは就職氷河期世代対策であって引きこもり対策ではありません。
目に見える事象としての「家から出ない」は同じでも原因が違います。原因が違えば当然対処も違います。出られる環境を作れば引きこもりは無くなるという発想は、精神疾患の方をさらに追い詰める可能性があります。こんなに対策しているのに無職なのか、ニートなのか、引きこもりなのかと。

きっかけさえあれば社会復帰できる人ときっかけ以前の問題の人がいます。対立軸を作るということではなく「引きこもり」という言葉で一律に済ませられる問題ではありません。
少なくとも「病気」と「社会に出るきっかけを無くした人」は区別する必要があると考えます。

だから「引きこもり」という言葉に違和感を感じるのです。

香川 昌彦

香川 昌彦

社会保険労務士法人こころ社労士事務所 代表
全国社会保険労務士連合会(登録番号第27190133号)
大阪府社会保険労務士会(会員番号第22072号)
大阪府中小企業家同友会 三島支部 情報化広報委員長
一般社団法人即戦力 理事
茨木商工会議所専門家相談事業 相談員
大阪府働き方改革推進支援・賃金相談センター 訪問コンサルティング専門家
関西圏雇用労働相談センター 労働相談員

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