大阪府茨木市「社会保険労務士法人こころ社労士事務所」香川昌彦です。
「働き方改革」という言葉がかなり定着したように感じます。ただ、実際にはどうすればよいか、何をすればよいかわからない社長も多いのではないでしょうか?
働き方改革は、社員と会社が共に成長するための重要なプロセスです。働き方改革を進める上で、マズローの5段階欲求説を念頭に置けばわかりやすいと考えました。マズローを働き方改革の3つのフェーズに当てはめて考えると、社員が真に満足する職場環境の構築が可能になります。
働き方改革の3つのフェーズは以下のように定義します。
- 働きづらい職場環境の解消
- 働きやすい職場環境の整備
- 働きがいのある職場環境の定着
それぞれ順番に見てみましょう。
1.働きづらい職場環境の解消:安全の欲求
法令遵守を含む職場の安全性の確保は、社員が基本的な安心感を持って働くための基本です。モチベーションとかやりがい以前に、ここが守られていないと話になりません。マズローの欲求5段階説における「生理的欲求」に続く「安全の欲求」の部分です。ここは働き方改革の初期段階で対応すべき重要なポイントです。ちなみに「生理的欲求」を満たすのは国の仕事だと私は考えています。
これは三六協定などの法令遵守だけでなく、労働時間の適正化や健康的な職場環境の確保など、社員が身体的および精神的に安全でいられるための措置を含みます。この安全の確保が、社員が次の段階の欲求を追求するための基盤となるのです。
2.働きやすい職場環境の整備:社会的欲求と承認欲求
次に「社会的欲求」と「承認欲求」を満たすことに焦点を当てます。これはマズローの理論の中間層に位置し、人間関係の充実と自己の価値の認識を重視しています。有給休暇の取得促進や、育児休暇などの制度導入や、社員が家族や友人との関係を大切にするための特別休暇の創設等を行なうことです。
また、社内の風通しを良くすることや、コミュニケーションを活性化させることは、職場内の人間関係を豊かにし、社会的欲求を満たします。たとえばクラブ活動の導入などは方法の一つでしょう。お互いの存在を認め合う社風は承認欲求を満たすのです。
3.働きがいのある職場環境の定着:自己実現の欲求
最終的に、マズローの5段階欲求説の頂点にある「自己実現の欲求」を満たすことを目指します。これは、社員一人ひとりが自分の可能性を最大限に引き出し、個々の目標や夢を追求できる職場環境を作り出すことです。社員が自らの業績に対する適正な評価を受け、その上で自分自身の成長を感じられるようなキャリア開発の機会を提供することが重要です。これにより、社員は自分自身の能力を最大限に発揮し、仕事を通じて自己実現を果たすことが可能になります。
そのためには、まず会社の存在意義を示す必要があります。それが「経営理念」です。また、会社を通じてどんな未来が待っているのかを具体的に示す「ビジョン」の確立が必要です。適正な人事評価制度の導入も欠かせません。
まとめ
マズローの5段階欲求説を働き方改革に適用することで、社員が真に満足し、モチベーションを保ちながら働ける職場環境を作ることができます。安全の欲求から始まり、社会的・承認欲求を経て、最終的に自己実現の欲求を満たすことで、社員と企業が共に成長し、充実した未来を築くことが可能になります。
その中で私たち社会保険労務士の役割は、働き方改革の具体的な進め方を支援し、皆様の職場をより良くすることなのです。
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