労働とプライベートの混在について~タイムカード導入で腹落ちしたこと~

2月に社員雇用をし、タイムカードを導入しました。パソコンで出退勤を打刻するシステムです。
せっかくなので、私もタイムカードを使うことにしました。外に出ていることも多いので、スマホでも打刻できるようにしています。

最初の頃、打刻忘れがひどかったです。出勤・退勤とも押し忘れていまいます。
習慣化していないという問題もありましたが、本質的なことは、そこではないことにふと気づきました。

どこからどこまでが仕事なのか、自分の中であいまいだったのです。朝起きてから晩に眠るまで、ずっと仕事のことを考えています。だから「ここからが仕事」とか「ここまでが仕事」という意識が希薄だったのです。

非常に反省をしました。
お客様には、社員に打刻漏れがないように指導してくださいと頻繁にお願いしています。労務管理において労働時間の把握は基本中の基本だからです。それを自分ができていないのです。

なぜ社員さんが打刻を忘れるのか、自分に置き換えて腹落ちしました。
特に營業担当の方だと何時から何時まで仕事、と決まってはいるものの、勤務時間外でもお客様から連絡が入れば対応しているのだと思います。日中は外回りで書類仕事ができないので、家に帰って書類を作成していることもあるでしょう。

逆に、勤務時間中に多めに休憩を取ったり、役所に行ったり、病院に行ったりすることもある程度なら黙認されている場合もあるでしょう。

「それが營業という働き方」という意識が社長にも社員にもあるのだと思います。
ただその結果「真面目な營業さん」「不器用な営業さん」が疲弊してしまうという一面もあるのではないでしょうか。起きている時間をすべて仕事に費やしているのです。

プライベートと仕事が混在した曖昧な時間をずっと過ごすというのは、身体にも心にも支障をきたします。結果的に生産性を下げてしまいます。

この働き方でないと成果が出ない、という意識を社長も社員も変えていかなければなりません。ワークライフバランスというのは、労働時間とプライベートの時間を混在させることではないのです。それぞれの時間を大切にすることによって豊かになるということなのです。

それには自社の努力だけでなくお客様の理解と協力も必要です。
ある会社で定年退職されて嘱託として働いている方がおっしゃっていました。「お客様を大切にすることとお客様の言いなりになることは違う」。
勤務時間外に電話して、出なかったから取引を切る、というのは本当のお客様ではないのです。対応可能な時間帯を伝えておいて理解してもらっていればそれで済むことなのです。

ベテランの方からの言葉というのに重みがあると思います。今より遥かに過酷だった時代だったからこそ、自分を守るために敷いていた一線なのでしょう。

2024年問題で建設業・運送業の残業時間規制が始まります。運送業においては、厚生労働省は荷主にも協力を要請しています。自社だけではどうにもならないことがあるからです。料金を支払う側・頂く側という違いはあっても、ビジネスを通して「お互い対等に幸せになるというゴールは同じなのです。

私自身に染み付いていた労働時間とプライベート時間の混在。事務所の営業時間は決めているものの、24時間体制で顧客対応していました。

仕事を通して豊かになったり、幸せになったりする会社をサポートするのが私の事務所の仕事です。自分ができていなくては話になりません。

弊社の経営理念に「こころの元気100%の社会を実現する」と歌っています。
あらためて経営理念に立ち返り、自分も含めた社会の幸せのために仕事をしないといけないな、と思い返したのでした。

香川 昌彦

香川 昌彦

社会保険労務士法人こころ社労士事務所 代表
全国社会保険労務士連合会(登録番号第27190133号)
大阪府社会保険労務士会(会員番号第22072号)
大阪府中小企業家同友会 三島支部 情報化広報委員長
茨木商工会議所専門家相談事業 専門家相談員
大阪府働き方改革推進支援・賃金相談センター 訪問コンサルティング専門家
関西圏雇用労働相談センター 労働相談員

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