助成金の使い道~「書類を集めてお金をもらう」で済ませないために~

助成金、という言葉がこれほどメジャーになった年はないのではないでしょうか。「雇用調整助成金」を知らない方はほとんどいないと思います。会社都合で社員を休業させた場合、その給料を補償しなければならないという労働基準法の決まり。けれども、そうすると会社が倒産してしまう。社員も失業して生活に困ってしまう。それを防ぐために、休業手当を支払った会社に対して「このお金で補填してね」という趣旨の助成金です。何に使うか目的がはっきりしています。

一方、何に使うか目的がわからないまま、会社が利用する助成金も存在します。例えば「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」という助成金があります。助成金を知っている方ならかなりメジャーなもので、申請する会社もたくさんあります。非正規社員を正社員に転換して、給料をアップさせれば助成金がもらえる、という内容です。すごく人気があり、申請から支給まで半年以上かかります。

問題は、「この助成金の趣旨は何か?」ということです。助成金目的で、最初は非正規で少し賃金を下げて雇入れ、半年後に予定通り正社員に転換、給料を5%上げる。さらに半年後に助成金申請。半年後に受給。

正社員に昇格させるのだから、悪いことではありません。しかしながら、非正規社員と正社員との役割、責任には違いがあります。非正社員が正社員の要件をクリアしたから正社員に昇格させるのが本来の人事の姿です。最初から正社員で雇い入れるのはリスクだから、最初は非正規として雇入れ、安心できる人材だから正社員にする、という場合もあるでしょう。日本は正社員の権利が非常に強いからです(その良し悪しについてはここでは触れません)。

キャリアアップ助成金の場合、安定した正社員を雇うことに対する、国からのご褒美なのでしょうか?そういった一面もあるでしょうが。私はそれだけとは思いません。正社員にふさわしい「知識・能力」を身につけさせるために「非正規社員を教育する」ことに使う助成金だと考えます。単に正社員を昇格させても、会社にとっては何のメリットもありません。事実、目先の助成金だけのために正社員にして、その人が問題社員になるケースは少なくありません。

「同一労働同一賃金」の考え方から見ると「非正規→正規」の流れで待遇だけが変わり、役割や責任が変わらないのであれば、その会社は非正規社員に対して不合理な扱いをしているということにもなります。

キャリアアップさせて、正社員にするということは、コストがかかることです。けれども長い目でみると、会社の生産性があがり、社長にとっても、社員にとっても、そして国にとってもプラスになります。会社の利益アップ、社員の給料アップ。国庫に入る税金アップです。

だから、助成金が支給されるのです

「助成金」をグーグルで調べると「丸投げで助成金がもらえます!」という広告が何行も並びます。

もしかしたら、もらえるかもしれません。実態を知らないので批判はできません。けれども、問題提起はできます。

それで会社は成長しますか?

 

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