うつ病で休職した社員の復職までの道筋は?決まりごとを作るのが大切。

 厚生労働省の調査では過去3年間で半数の企業に休職者が発生しています。メンタルヘルスに取り組む企業が増えたにも関わらず、その数字は高止まりしたままです。復職率は約50%、その中で1年以内に退職に至るのが60%。大まかに計算して、うつ病に罹患して休職すると、70%は退職に至ってしまうということを意味します。
 うつ病での休職はもはや他人事ではないにも関わらず、休職から復職までの道筋を定めていない会社の多さに驚かされます。ここでは、一般的な休職から復職までの流れを説明します。

休職に至るまで

休職する前の前兆として社員に現れる変化には以下のようなものがあります。

  • ミスが多くなる
  • イライラする事が多い
  • ため息をつく
  • 勤怠が悪化する(遅刻、欠勤、早退) etc.

そして、精神科を受診し、診断書にて休職を決定するという流れになります。本人が受診しなければ、会社から受診を促すべきです。拒否する場合「出勤停止」「自然退職」「解雇」等の措置を取れる旨を伝える必要があります。
「休職」は本質的には「解雇の猶予」です。日本の労働法では解雇の制限は厳しいですが、心身の耗弱により働けない社員を雇い続けなければならないかといえば、そうではありません。

ただし、社員の今までの貢献を鑑みて解雇とせず、病気の回復を待つ、というのが休職なのです。会社の就業規則に定められてある場合に有効で、労働法に決められた当然の権利ではありません。よって、休職の際には以下の3点就業規則を定めておく必要があります。

  • 休職の期間
  • 休職中の連絡と過ごし方
  • 復職基準

休職の期間

既に就業規則に定められてあるのなら、その期間を社員に伝えます。定められていない場合はこれを機会に定める必要があります。就業規則に定めがない場合、極端なケースですが、2年も3年も休職したままの社員がいる会社があるのです。
休職期間を有期にしないと、会社がリスクを背負うこととなります。

休職中の連絡と過ごし方

最低限2週間に1回、直属の上司か人事担当と休職者が連絡を取るのが望ましいです。精神科を受診しているか、規則正しい生活を送っているか、体力の回復のために何か実行していることはあるかのヒアリングをします。その内容によって復職時期を探り、会社での受け入れ準備をすることとなります。
ただし、休職者との連絡は非常に労力がかかります。詳しいヒアリングについては社会保険労務士等の専門家に依頼し、そこからまとめて情報を得たほうが効率的かもしれません。

復職基準

一番多いケースが「就労可能」の診断書をもって、自動的に復職させるというものです。残念ながら、こういった復職が、うつ病の再発を招き、再休職、あるいは退職へと導いてしまうのです。

精神科医と医師との面談は長くて30分、短い場合だと5分程度です。この短時間で休職者の就労能力を図ることができるでしょうか?病気としてのうつ病の回復の診断はつきますが、それと就労能力はまた別なのです。体力の回復、頭の回復、コミュニケーション力の回復等がなければ就労に耐えることができません。通勤する体力がなくて再発、というのは意外に多いケースです。

就労能力の回復を図るためには「リワーク施設」に通ってもらい、そこでの様子をヒアリングすることにより、初めて休職者の就労能力を図ることができます。精神疾患での休職の際にはリワーク施設に通うこと、と定めておけば、本人のリハビリテーションに繋がるのはもちろん、復職判定の基準としてリワーク施設からの情報を参考にすることができます。

なお、リワーク施設には次のようなものがあります。

  • 障害者職業センター
  • 病院のデイケア
  • 就労移行支援事業所
  • その他リワーク専門施設

本人との相性やスキルアップしなければ行けない能力に応じてリワーク施設を決めると良いでしょう。リワーク施設に詳しい専門家に相談して、適切な施設選定が必要です。

本人・主治医・家族・リワーク施設からの情報を元に、復職可能かどうかを判断します。

復職後の注意点

いきなり休職前の業務にフルタイムで勤務させてはいけません。うつ病を再発する確率が高まります。まずは1日6時間、あるいは週に3-4日勤務などに設定、業務内容も「この仕事をやっておく」というリストを作る必要があります。
それを1週間ごとに上司との面談で、できたこと、できなかったことを振り返り、次の1週間に活かす。再発をさせないのはその積み重ねです。

まとめ

以上、休職から復職の流れまで解説しました。大切なことは「定量的に決まりごと(就業規則)を作っておくことです。ズルズルと復職と休職を繰り返すのは本人にとっても会社にとっても不幸です。
まずはうつ病にならない健康な企業体質、そしてうつ病に備えた準備体制が今後さらに会社に求められることです。

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